誰もがかかる病気 若者のうつとは? 2
今回も前回に引き続いて、うつ病について解説していきたいと思います。
今回は若者のうつについて扱います。
前回の記事はこちら
- 第3章 若者の「新型うつ病」とは何か
- 「メランコリー型うつ病」と「新型うつ病」の違い
- メランコリー型うつ病
- 新型うつ病
- 新型うつ病の分類
- 1 ディスミスチア型うつ病
- 2 非定型うつ病
- 3 発達障害型うつ病
- アスペルガー障害
- まとめ
第3章 若者の「新型うつ病」とは何か
「メランコリー型うつ病」と「新型うつ病」の違い
まず始めに典型的なうつ病であるメランコリー型うつ病と若者に多い新型うつ病の違いについて説明します。
メランコリー型うつ病
メランコリー型うつ病は、
・真面目
・几帳面
・責任感が強い
・秩序を重んじる
・努力家
・他者への配慮を欠かさない
といったようなメランコリー親和型の性格の人がなりやすい病気です。
このような性格を持った方が、進学、転勤といったような生活状況の変化によって発症することがあります。
心身ともに疲弊し強い責任感を感じ、自分を責めて苦しみ、深刻な自殺念慮をします。
治療としては、抗うつ薬が良く効き、経過の比較的良好です。
新型うつ病
・若い人に多い
・状況依存性(自分が好きな事には元気になる)
・自責感に乏しく他罰的
・不安障害(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害)を合併することも
というような特徴を持っています。
女性は摂食障害と合併することもあります。
新型うつ病の分類
新型うつ病には、ディスミスチア型うつ病、非定型うつ病、発達障害型うつ病などの分類が存在します。
以降、1つずつ説明していきます。
1 ディスミスチア型うつ病
ディスミスチア型うつ病は、気分調整性障害、適応障害、大うつ病性障害と診断されることが多いものです。
患者は、「未熟、依存的自己中心的な性格傾向を持ち、さほど規範的ではなく、自分自身への愛着があります。」(傳田、2009)
また過度の自尊心、万能感がうかがえることがあります。
症状
①「自責感や悲哀間には乏しく、輪郭のはっきりしない不全感や倦怠感」(傳田、2009)
②無遠慮、無配慮な傾向があるが、自身は繊細で傷つきやすい
といった症状があります。
治療
①抗うつ薬はメランコリー型うつ病と比較して少ない効果か見込めない
②「自分がおかれた場や環境の変化によって……症状が急速に改善することがあります。」
2 非定型うつ病
症状
②気分反応性(自分に都合が良い時には気分が良くなる)
③激しい疲労感(②に飛行して体が動かなくなる)
④人間関係に非常に敏感になる
上記のような症状を呈します。
④については「他人からの批判、批判、軽視、侮辱に対して過敏になり、ひどく落ち込んだり、絶望を感じたり怒りを示したりする」(傳田、2009)と言います。
近年では、全体のうつ病患者の10~38%が非定型うつ病を発症しているといわれています。
またこのタイプも不安障害、せっしょくしょうがい、双極Ⅱ型障害、パーソナリティ障害と合併しやすいといわれています。
3 発達障害型うつ病
発達障害型うつ病は「アスペルガー障害などの軽度発達障害を背景に持つうつ病」(傳田、2009)です。
アスペルガー障害
広範性発達障害の中の一つ
症状
①コミュニケーションの障害
・言語の発達の遅れ
・会話が成り立たない
・人の話が聞けない
といった症状があります。
②社会性の障害
・友達が出来ない
・相手のジェスチャーに鈍感
・楽しみや今日意味を他人と分かち合えない
・社会常識やマナーが身につかない
③こだわり行動
・想像力の乏しさ
・興味が偏っている
・融通が利かない
この3つに該当し、言葉の発達に大きな遅れがみられない場合、アスペルガー障害と呼ばれます。
まとめ
以上、うつ病や新型うつ病について解説してきました。誰もがなる病気であり、気づきにくい症状を持つからこそ自身や周りの人に注意が必要だと思います。
気になった人は読んでみてください。
参考:傳田健三『若者の「うつ」「新型うつ」とは何か』2009 ちくまプリマ―新書