誰もがかかる病気 若者のうつとは? 1
今回は、傳田健三『若者の「うつ」 「新型うつ病」とは何か』2009 ちくまプリマ―新書を参考に、うつ病や若者に多いといわれている新型うつ病について解説していこうと思います。
第1章 「うつ」って何だろう
「うつ病」の症状
まずは、うつ病の症状について説明していきます。
うつ病には典型的な症状がいくつか存在し、その症状に5つ以上が当てはまり、2週間以上続いていた場合、うつ病が疑われます。
①抑うつ気分(憂鬱で悲しい気分であるということ)
②興味・喜びの喪失
③食欲の障害(減退もしくは増加)
④睡眠障害(不眠であるということ)
⑤精神運動の障害(強い焦燥感)
⑥疲れやすさ・気分の減退
⑦無価値観・罪責感
⑧思考力・集中力の低下
⑨自殺念慮(死についての考え)
以上の9つの中で5つ以上当てはまっていた場合は、医療機関に受診することを考えたほうが良いと思われます。
「うつ病」の分類
「うつ病」と呼ばれるものには、大きく分けて5つの分類が存在します。
①大うつ病性障害
②気分調節性障害
③重複うつ病
④反復性うつ病
この5つです。
①大うつ病性障害
最も典型的なうつ病です。ある時点から気分が落ち込むなどの症状が生じ、その状態が2週間以上継続している状態となります。
大うつ病性障害は70%ほどの人が再発したり、双極性障害に変わったりすることもあります。
②気分調節性障害
気分調節性障害とは、軽度のうつ病が長期間続く状態のことです。軽度とは、大うつ病障害よりは、軽いうつ状態という意味で、疲れて抑うつ気分が続きます。長期間の基準は、大人では、少なくとも2年以上、子どもでは、1年以上となっています。
これは、性格の問題とみなされてしまうことが多く、外から見ても見分けるのが難しいと思われます。
またこれは、新型うつ病のタイプの一つとみなされています。
③重複うつ病
重複うつ病は、気分調節性障害から大うつ病性障害に移行することによっておこるものです。
重複うつ病の抑うつの程度は、大うつ病性障害と比較して重いものとなっています。
回復の具合は良好ですが、完全寛解(ほぼ完全に治ること)は難しいといわれています。
④反復性うつ病
再発率は、
1回目から2回目を発症する確率→50~60%
2回目から3回目を発症する確率→70%
3回目から4回目を発症する確率→90%
というようになっています。
つまり、「再発すればするほど、さらに再発しやすくなっていく」(傳田、2009)ということです。
⑤双極性障害
双極性障害とは、うつ状態と躁状態がある程度一定の周期ごと繰り返すことです。躁状態の程度によって、双極Ⅰ型障害と双極Ⅱ型障害に分けられます。
ちなみに躁状態とは、気分が病的に高まってしまう状態のことです。
⑤-① 双極Ⅰ型障害
双極Ⅰ型障害はうつ状態と重度の躁状態を繰り返すことです。これは、入院したほうがい良いほどの重度の躁状態になってしまいます。
⑤-② 双極Ⅱ型障害
双極Ⅱ型障害とはうつ病と軽度の躁状態を繰り返すことです。これは、入院を必要としない程度の躁状態です。
まとめ
傳田氏によると「「大うつ病性障害の障害」生涯有病率(いっしょうのうちに一度はうつ病にかかる割合)は、女性で10%から25%、男性では5%から12%であるといわれています。すなわち、女性では四~十人に一人が、男性では八~二十人に一人が、障害にに一度はうつ病にかかるということになります。」(傳田、2009)
うつ病が誰もがかかる病気であるといえるでしょう。
次回では、新型うつ病について解説していきます。
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