socialandstudy’s diary

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誰が自殺するの?2

前回に引き続いて、高橋祥友『自殺予防』岩波新書 2006から近年問題となっている自殺についてどのような人が自殺を選んでしまうのか、身近な人間はどう振る舞えばよいのかについて考えていきたいと思います。

前回の記事はこちら↓

socialandstudy.hatenablog.com

 

 

 

 

第2章 自殺の心理

2 自殺する人としない人の違い

高橋氏は自殺する危険が差し迫っている人の特徴を自殺前症候群として紹介しています。

①閉塞感

②攻撃性の逆転

③自殺幻想

 

①閉塞感

「耐え難い状況に置かれて自分は全く無力であり、絶望感に圧倒され、生きる意味さえ見いだせず、誰もそこから救い出してくれるはずがないという思い」(高橋、2006)です。

 

②攻撃性の逆転

他者や社会に向けられていら攻撃性が自身に向けられるようになると自殺の危険が上昇します。

 

③自殺幻想

これは、自殺をすることが自らの状況から逃れる唯一の方法だと思い込むことです。

 

自殺をする危険にある人には上記の3つのような症状がみられるといいます。

そのため、この兆候にできるだけ早く気づくことが自殺予防につながります。

 

自殺に追い込まれる人に共通する心理

自殺に追い込まれる人に共通する心理として7つ紹介します。

 

①極度の孤立感

 

②無価値観

「自分は生きるに値しない」、「生きていても仕方がない」と思い込むことです。これが深い絶望感につながり自殺の危険が高まります。

 

③強度の怒り

窮状によって向けられていた他者や社会への怒りが事故に向けられたとき、自殺の危険が高まります。

 

④窮状が永遠に続くという確信

 

心理的視野狭窄

自殺が窮状を脱す唯一の解決策であると思い込むことです。視野が狭くなってこのように考えてしまうと高橋氏は述べています。

 

⑥諦め

「ありとあらゆる必死のたたくを試みた後に独特の諦めが生じ始める」(高橋、2006)

と言います。

「もうどうなってもいい」「どうでもいい」といった感情がそれです。

 

⑦全能への幻想

絶望、無価値観、孤独、諦めにさいなまれた人にとっては死ぬことがこれらから逃れる方法だと思い込むことです。

 

3 「自殺したい」と打ち明けられたら

①誰でもよいから打ち明けたのではない

自殺者の大多数は自殺する前に誰かに自殺の意思があることを打ち明けています。その相手は、意識的、無意識的に特定の誰かを選び出しています。

そのため、「あなた」を選んで打ち明けているので、それをしっかりを受け止めることが大切です。

 

②生と死の間で激しく揺れ動いている

自殺願望を持つ人は「死にたい」という気持ちと「生きたい」という気持ちの間を揺れ動いている。「生きたい」という気持ちが上回っているからかろうじて生きているとも言えます。

そのため、「死にたい」という言葉は文字通りの意味ではなく、「生きたい」「助けて」「見捨てないで」といった意味を含んでいるのではないでしょうか。

 

③時間をかけて訴えを傾聴する

「死にたい」と打ち明けられて時は、

「危機的な状況であると同時に、その悩みを受け止める絶好の機会でもある」(高橋、2006)

と高橋氏は述べています。

そのため、時間をかけて聞き役に徹するべきです。

 

④沈黙を共有してもよい

自殺願望を持つ人の悩みにはあまりにつらすぎてその人自身も言葉にうまくできないこともあります。

その時は沈黙を共有しても構わないといいます。

話を聞いているという事実やその姿勢が重要だといえます。

 

⑤してはならないこと

・話題をそらすこと

・表面的な激励をすること

・𠮟りつけること

・社会的な価値観を押し付けること

これらのことをしてしまうと、二度と胸の内を話てくれず、自殺が決行されてしまう可能性があります。

 

⑥悩みを理解しようとする態度を伝える

自分と向き合ってくれていると感じさせることが重要だからです。

 

⑦十分に話を聞いたうえで他の選択肢を示す

話を聞く人が他の選択肢を示すことで、

「問題を客観的にとらえ、冷静に対処する」(高橋、2006)

ことに繋げていくことが重要です。

 

⑧いつも「自殺」の話題から打ち明けてくれるわけではない

深刻な相談をしたくてもすぐにその話題に入れるわけではありません。

そのため、当たり障りのない話をすることがあります。

聞く側には我慢強く聴くことが必要です。

 

第5章 家族を支える、遺族をケアする

ここでは、自殺が決行されてしまった場合の反応について簡単に紹介します。

 

遺族に生じる反応

自殺の一報を受けて、それを受け止めることのできる人はほとんどいません。

遺族の良くある反応としては、

①「あの時自分がこうしていれば自殺を防げた」というように自身を責めてしまうこと

 

②特定の誰かへ怒りを向けること

 

③死因が自殺であることを周囲に隠そうとする

 

④本人が自殺をほのめかしていたり、自殺未遂を繰り返していた場合には、「これで本人も自身を苦しむことはなくなる」という一種の救済感を覚える一方で、解放されたと感じてしまった自分に対して、罪悪感を感じてしまう

 

上記が考えられます。

遺族がうつ病PTSDなどになってしまう場合があることから周囲の人間が支える必要があります。

 

まとめ 

これまで、自殺予防について考えてきました。

自殺を予防するためには、話を聞く姿勢が大切だと思います

 

 

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