シングルマザーの貧困の実態とは? 2
前回に引き続いて、水無田気流『シングルマザーの貧困』2014 光文社新書を参考にシングルマザーの貧困の実態について解説していきたいと思います。
前回の記事はこちら
第4章 シングルマザーの「時間的貧困」
ここでは、シングルマザーの学歴について解説していきます。
全国母子世帯等調査(2011)によると、片親の学歴は、
母子世帯
中学校:13.1%
高等学校:47.9%
高等専門学校:3%
短期大学:12.1%
大学・大学院:4.7%
というようになっています。
そしてシングルマザーにおける正規職員・従業員の割合は、最終学歴を基にみると
最小:中学校→14.4%
最大:大学・大学院→48.7%
となっています。
一方、父子世帯の最終学歴は、
中学校:15.3%
高等学校:51.6%
高等専門学校:4.5%
大学・大学院:15.6%
というようになっています。
そして父の正規職員・従業員の割合を最終学歴を基にみると、
最小:中学校→57.1%
最大:大学・大学院→81.9%
となっています。
ここから分かることとして、同じ片親でもシングルマザーの方が学歴や正規の職という面でも恵まれていないことがわかります。
第6章 根強い日本の文化規範
ここでは、できちゃった婚について解説していきます。
家族問題は、「男女の性差以上に階層格差が与える影響が大きくなってきている」(水無田、2014)と言います。
その例として挙げられるのが「できちゃった婚」であると水無田氏は述べています。
水無田氏は、「「でき婚」は、若年層ほどその後の女性尾ライフコースに不利に働き、貧困の再生産を促す可能性が高い」(水無田、2014)と指摘しています。
厚生労働省「人口動態特殊統計」(2010)における「結婚機関が妊娠期間より短い出生の嫡出第一出生に占める割合」(つまり、できちゃった婚をした割合)によると、「「でき婚」率は年齢層により違いが極めて大きいことが特徴」(水無田、2014)だと、水無田氏は述べています。
具体的には、
10代の母:8割
20代前半の母:6割
20代後半の母:2割
30代前半の母:1割
というようになっています。
「日本では低年齢での妊娠出産は、実質的に学業の中断を意味する。相対的に高学歴化が進む日本で、このことは就業に関し、非常に不利になる。」(水無田、2014)と水無田氏は主張しています。
つまり、若年層におけるできちゃった婚は、学歴なあどの面からも経済的な困窮をもたらし、貧困の再生産を促すものになっているということがわかります。
まとめ
以上のようにシングルマザーの貧困の実態について解説してきました。セーフティネットの網目が比較的広い日本にとって、シングルマザーは生きにくいと思われます。
やはり、公的な助けが必要だと思います。
気になった方は、実際に読んでみてください。
参考:水無田気流『シングルマザーの貧困』2014 光文社新書