socialandstudy’s diary

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子どもを叱る・ほめる・認める技術

今回は、南惠介『子どもの心をつかむ!指導技術 「ほめる」ポイント「叱る」ルール「認める」心得』2017 明治図書 から子どものしつけ、指導のポイントについて解説していきたいと思います。

 

「ほめる」と「認める」の違い

まず始めに、「ほめる」と「認める」の違いについて説明していきたいと思います。

 

ほめる

「「できたこと」「秀でたこと」「前よりプラスに変化したこと」に対して行われる行為」(南、2017)であり、立場が上の者から下の者に対して行われるものです。

 

認める

子どもの良いところ、悪いところも含めて子どもの存在を認めること。

 

上記2つを比較すると、「ほめる」は評価という意味合いに感じられるのに対して、「認める」は受容という意味合いに感じられますね。

「ほめる」は評価の意味合いが存在するため、常にほめられると、疲れてしまいます。

そのような評価に子どもたちを染め切らないようにするために、「ほめる」だけを行うのではなく、子どもたちを「認める」ことも必要だと思います。

 

「ほめる」ポイント

次に、具体的に「ほめる」ポイントについて説明していきたいと思います。

 

ロスタートで子どもを見る

ほめる際に、教師が「こうなったらほめる」というように決めることもできますが、それでは、ほめる機会が少なくなってしまうとともに、教師自身が、期待している分、その期待を裏切られた感覚になってしまい、悪循環に陥ってしまいます。

そのため、教師が基準を決めてそれに達した子どもをほめるのではなく、スタート時(最初に出会ったとき)の子どもの様子を基準とし、そこから少しでも良い方向に進んだらほめるようにする。

ロスタートで子どもを見ることが重要です。

 

言いがかりをつけるようにほめる

子どもに対して自分はあなたを公的的に見ているということを示すことがほめることの究極的な目的であると南氏は述べています。

つまり、ほめることは何でもよいのです。理由も根拠もなく、言いがかりをつけるようにほめることも必要であると思います。

 

「叱る」ルール

続いては、叱ることのルール等について解説していきます。

 

副作用を理解し、それでも叱る

叱ることには「「ルール」や「マナー」をはっきりさせるという機能」(南、2017)があります。

しかし、「子どもたちの「自尊感情」を間違えなく引き下げる」(南、2017)というデメリットが存在します。

また教師と子どもの間に距離が出来るので、叱ることは劇薬であるといえます。

そのため、いつ使うかを考え中ればなりません。

つまり、「〇〇したら叱る」という基準を決めておく必要があるということです。

 

原則を決めて叱る

ここでは、植草学園大学教授の野口芳宏氏が主張する「叱る三原則」について紹介していきます。

 

叱る三原則

  1. 命にかかわる危ないことをしたとき
  2. 人の不幸の上に自分んオ幸せを築こうとしたとき
  3. 三回注意されても直そうとしないとき

2.はいじめ等、が想定されます。

3.では理不尽な要求をしないことが注意点として挙げられます。

 

軽重をつけて「叱る」

叱るにしても、それが軽い段階で子どもたちが直すことが出来れば、デメリットも少なくてしみます。そのため、軽→重のように叱る程度をあげていきます。

レベル別に紹介していきます。

  1. 「今○○しているよ」というこいの確認
  2. 代替行動(代わりに取るべき行動)を示す
  3. 顔をしかめる、おしいという、笑顔でダメ出し
  4. I メッセージ(私はこう感じる)を伝える
  5. 淡々とした注意、教え諭す
  6. 怒りを含んだ注意
  7. 厳しい声でも叱責
  8. 天地もひっくりかえるくらいの叱責

(南、2017)

全てを使う必要はありません。

教師の性格に合わせて使い分けていくことも必要です。

 

表情を消す

笑顔や怒った顔というものは理解しやすい、周りから見て分かりやすい表情です。

そのため、叱る際に効果を高めるためには表情を消すことが有効になります。

 

叱る前に事実関係をはっきりさせる

叱ることを有効にするためには事実関係をはっきりさせることが必要です。

皆さんも、叱られる際に、教師などが、自分の話を聞いてくれなかったり、信じてくれずにもやもやした気持ちで叱られた経験はないでしょうか?

これは事実関係のギャップを叱る側と叱られる側の間に作らないようにすることで子供の教師への不信感の発生を抑制するという目的があります。

 

苦手さのある「あの子」を叱る

発達障害などの特別な支援が必要だといわれている子どもの中には、適切は行動、不適切な行動の判別がついていないことがあります。

その様な子どもの不適切な行動は、

「様々な環境要因によって不安と緊張状態になり、やむなく「してしまっている」ことが多い」(南、2017)

と言います。

このような子どもには叱ることが自尊感情を傷つけ、心を閉ざしてしまうことになりかねないため、適切となるとは限りません。

そのため、注意して支援することが必要です。

 

「認める」心得

最後に認めることの心得について説明していきたいと思います。

 

あるものをほめる

認めることにおいて、基本的には教師は受動的です。

その中で、教師が出来る数少ない「認める」方法が、「あるものをほめる」ことです。

これは、子どものあるがままを肯定することです。

具体的には、「笑顔が素敵だね」「元気がいいね」「姿勢がいいね」というような感じです。

 

「待つ・見守る・関わる」姿勢を心がける

子どもの努力を待つこと、子どもの挑戦、失敗などをに守ること子どもとかかわるという意識が大切です。

すぐに結果を求めがちであるが、子どもを信じることが求められます。

 

まとめ

これまで、子どものしつけ、指導のポイントについて簡単に解説してきました。やはり、叱ることは、使い方を考えて注意して使わないといけませんね。

興味がありましたら是非読んでみてください。

 

参考:南惠介『子どもの心をつかむ!指導技術 「ほめる」ポイント「叱る」ルール「認める」心得』2017 明治図書