「子どもの自殺」の社会学 その原因・動機とは?1
今回は、伊藤茂樹『「子どもの自殺」の社会学「いじめ自殺」はどのように語られてきたのか』2014 青土社 から子どもの自殺について解説していきます。
第1章 子供の自殺という社会問題
子供の自殺の主な原因
①「勉学・受験による自殺」
この原因は、受験の失敗、成績の低下による挫折・絶望、日々の勉強・競争によるノイローゼ、受験戦争・学歴社会の犠牲などによるものです。
このようなことが原因で自殺は、子どものイメージ、役割に会うものであるため、「子どもの自殺のストーリーとしてきわめて受け入れやすいものである」(伊藤、2014)と伊藤氏は述べています。
また「警察庁の自殺統計によると平成24年の20歳未満の自殺者のうち、「入試に関する悩み」及び「学業不振」が動機とされる者は合わせて85名おり、全体の15.6%を占める」(伊藤、2014)とも言います。
しかし、このことは、あまり知られていないないのではないでしょうか。
それはなぜか?
伊藤氏は学校での勉学や受験に対する意味づけの変化を主張しています。
つまり、学校の立ち位置が、
よりよい人生のために耐え抜いていくもの(未来志向)
から
「そこにいることで得られる「充足」」(伊藤、2014)を重視するもの(現在思考)
へ変化したということです。
これにより社会での勉強・受験や学校の立ち位置が相対的に低下したことで、勉学・受験を動機とする自殺が社会において想定されなくなったと考えられます。
②不可解な自殺
不可解な自殺は自殺の理由がはっきりしないものです。子どもの自殺で特に顕著ですが、自殺する際に、遺書が残っていないケースが多いため、動機がと規定できない場合はこれに分類されます。子どもでは特にこの項目に分類することが多いように思われます。
これも、自殺の原因がわからない不可解なものであるため、メディアも取り上げ方に苦心すると思われるため、ほとんど報道されることはありません。
③哲学的自殺
哲学的自殺とは、「不可解さを感じさせながらもその原因がある程度納得」(伊藤、2014)できる自殺の形態です。
「遺書や本人が書き残した作文などの思索的、内政的な内容がみられ、なおかつ社会や特に学校に対する批判意識が感じられる」(伊藤、2014)と伊藤氏は述べています。
この自殺は周りから見て「わかりやすい」自殺であるため、メディアに見いだされ報道されました。
④いじめ自殺
いじめ自殺は、いじめを原因として自殺するものです。
具体的には、第2章に書かれているので、次の記事に書こうと思います。
次の記事はこちら
参考:伊藤茂樹『「子どもの自殺」の社会学「いじめ自殺」はどのように語られてきたのか』2014 青土社